妹の恋人[完]
「おいしいもの食べさせてくれるし、気持ちいい事してくれるからいいんじゃない?」

なんて当たり前のことのように説明してくれるけど、俺には理解できない世界で。

「まあいいんだよ、知らなくてもそんなこと」

俺はまだ子供だと言われたようで、ちょっとショックだった。

口をつけただけでほとんど残っていた缶ビールをいっきに飲み干し、缶を片手でぐしゃっと潰す。

「どうせ俺はおこちゃまだよ・・・」

カウンターに体を預け、突っ伏して顔だけアツシに向けて睨みつけてやる。

「はは。コウヘイ、カヨちゃんはいい子だよ」

俺が保障するなんてアツシに言われても、なんだか複雑で。

「最近ずっと悩んでいた見たいだったけど、弟が出来ていたんだな。詳しくはたぶん誰にも話せていなかったんじゃないかな?」

俺も何も知らなくてかなり驚いたんだよ。俺と同じように缶ビールを飲みほし、ぐしゃっと缶を潰した。

「お前さっき話し聞いたんだろう?支えてやれよ」

カウンターに肘をついて、その手に顎を乗せて俺を見ているアツシ。

かっこつけているんだけど、様になっていて・・・男の俺から見てもムカつくくらいかっこいい。

それに比べて、やけ酒みたいにお酒に負けている俺って、かっこ悪すぎないだろうか。

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