妹の恋人[完]
水切りしていた食器を拭き終わったところだったらしく、後ろにある食器棚の扉を開けてカウンターの上に並べられた食器を丁寧に片づけ始めた。

「手伝うよ」

「あ、じゃあコーヒーカップお願いね」

二つ渡されたマグカップはペアになっていて。

「これねー、従妹のお姉ちゃんがくれたんだけどすごいかわいいんだよー」

手際よくコーヒーメーカーにフィルターや豆をセットして、こぽこぽとコーヒーが落ちていい香りが漂ってきた。

「そうなの?」

「ふふ。見てればわかるって!」

淹れたてのコーヒーをマグカップに注ぐと、そこに浮かんできたのはハートマーク。

「おー、すげー」

「かわいいでしょ?」

マグカップは普通の丸いカップに見えるのに、コーヒーを注ぐとハート型になっているカップの中がかわいく浮かび上がってきて。
しまった。

「これ、一組しかないから、皆には内緒ね」
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