妹の恋人[完]
「今日もまた、知らないお母さんたちに話しかけられてたでしょー」

スイミングが終わって。

帰りの車の中、呆れたようにカナコに言われてしまった。

「プールから丸見え。コーチにおにいちゃんモテルわねって笑われたよ」

助手席でぷーっと膨れたカナコをみて、なんだかおかしくて笑ってしまった。

「何で笑うのーっ」

もう、と腕を組んで俺を睨みつけているようだけど、運転に集中しているふりをして前を見たまま気づかないふりをした。

「おにいちゃん、フリンはだめだからね!」

「・・・は?」

カナコの口から想像もしていなかった言葉が出てきて、一瞬何を言っているのか理解できなくて。

フリン・・・不倫って!

「お前、意味わかってるの?不倫の」

「もう!知ってるよ!結婚している人と恋人になったりすることでしょう!?」

それくらい知っているんだからね!なんて誇らしげに胸を張るカナコがおかしくて。

「どこで覚えたの、そんな言葉」
< 335 / 587 >

この作品をシェア

pagetop