妹の恋人[完]
「ごまかしてもだめ!子供のいるお母さん相手に恋人探しちゃダメなんだからね!」

ふざけているわけじゃないのはわかっていて、真剣に心配しているのはよくわかるんだけど。

いくらなんでも、不倫って・・・。

「カナコ、俺はカナコが納得してくれる人とじゃないと付き合わないから大丈夫だよ」

一瞬、カヨちゃんの顔が浮かんだけど、夏休みのあの日以来学校の食堂で時々挨拶をするくらいで特に何もなく。

「・・・信じてるからね!」

気になっているといえば、気になっている存在だけど、時々元気そうな姿を見かけるだけで満足していた。

二人きりで会話をすることもなくて。

その後、ご家族とどうなったのかもわからないけど、一人暮らしを続けていることはアツシから時々聞くカヨちゃんや他のメンバーの話から分かっていた。

「さあ、ついたよ」

家に着いてガレージに車を止め、運転席から降りる。

同時に助手席から降りたカナコは大きく伸びをして今日も疲れたーなんて大きな声を出していて。
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