妹の恋人[完]
「え、あの・・・」

俺の言った言葉の意味が理解できないのか、俺の顔を見ながら目をくりくりさせていて。

「デート。今日俺バイトないんだけど、何か予定ある?」

「え、今日?今日は・・・サークル?」

疑問形で俺に問いかけられても、と笑いながらあわてて手帳を出して予定をチェックしているカヨちゃん。

予定を調べてくれるってことは、断られないんだなんてちょっと安心して。

「あ、サークル明日でした・・・」

緊張しているのか、いつも使わない敬語になったりしていて。

「じゃあ、今日授業終わったらここで待ち合わせね」

ぽん、と頭に手を乗せると赤い顔のまま俺を見上げたカヨちゃんがこくん、と頷いて。

「わ、私でいいの?」

なんて、予想外の言葉に、俺は本気でおなかを抱えて笑ってしまった。

「ごめん、俺たぶんカヨちゃんのことが好きなんだ」

「たぶんってなに、ひどー」

赤い顔で笑いながら、カヨちゃんの頬に涙がこぼれて。
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