妹の恋人[完]
「でも、私も、多分好き」

なんてびっくりすることを言ってくれて。

「え?」

自分で告白しておいて、相手の返事を理解するまで時間がかかってしまった。

涙でくしゃくしゃになった顔を両手で覆いながら、くすくす笑っているカヨちゃん。

「あはは、こんなところで告白しちゃったー」

ムードも何もないよね、なんて手で涙を拭いながら俺を見て笑ってくれた。

学校の食堂だけど。

目の前で涙を流して笑っているカヨちゃんが愛おしくて。

人目を気にすることもなく、ぎゅっと抱きしめてしまった。

「ありがとう」



午後の授業はなんだか上の空で。

真っ赤な顔をして熱が上がってきた様子のアツシにも心配される始末で。
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