妹の恋人[完]
二人で特別などこかへ出かけなくても、楽しい時間を共有できるのがうれしかった。

一通り食べ終わり、食後に入れてもらったコーヒーを飲んで。

ふと気がつけば外はもう真っ暗で。

人気のドラマが始まる時間。

「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」

明日も学校があるし、カヨちゃんの家からは電車に乗らないと帰れない距離。

ゆっくりしていたい気持ちもあるけど。

「うん、駅まで送っていくね」

「いや、もう暗いから玄関でいいよ」

靴を履いて玄関でお礼を言うと、さみしそうに見上げてくるカヨちゃんの瞳にドキッとして。

そっと握られた俺の袖口。

思わずカヨちゃんをひき寄せて抱きしめてしまった。

俺の背中にまわされた両手をそっと離すと、不安げな瞳と目が合って。

「また、明日」

そういってそっと触れるだけのキスをする。

名残惜しそうに離れた俺を見つめていたけど、今帰らないと家へ帰れなくなりそうで。

お互いに手を振り、玄関を出た。
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