妹の恋人[完]
「だから大学生になったら絶対に運動部に入ろうって思っていたんだよね」

でも、実際はもともと得意でない運動が続くわけもなく。

入学してすぐに入ったテニス部は練習がきつくてやめてしまったのだという。

「じゃあ、どうしてサッカー部のマネージャーを?」

「ああ、それはね」

サークルの掲示板を何気なく見ていたら、アツシに声をかけられ、そのままマネージャーになったと笑うカヨちゃん。

「サッカーのルールも知らないのに、マネージャーなんてねぇ」

自分なりにサッカーについて勉強をして、数名の先輩と一緒にマネージャーをしているというカヨちゃんだけど。

「やっぱ、向いてないかな、なんて」

高校の部活並に激しく動き回るサッカーサークルの練習に、毎日のように参加するのも大変なことで。

正直、毎日じゃなければいいけど、こうも仕事があるとアルバイトする時間も無いしどうしようか悩んでいたんだという。

「家賃は私が払っているわけじゃないからいいんだけど、やっぱね、私もアルバイトしたんだよね」

いつまでも親からお小遣いをもらっている生活では、自立なんてできない気がするというカヨちゃん。

「というのは言いわけで、もっと遊びたいし?」

ふふっと笑う彼女は、俺の横に並んで腕時計を確認した。

「わ、もうすぐ講義始まるよ!急ごっ!」
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