妹の恋人[完]
「それでは、はじめ!」

塾でのテストは、俺のほかに3人一緒に受ける人がいて。

こういう場に来ると、皆すごく優秀そうに見えるから不思議だ。

でも、今は順位を争うテストじゃないんだから、自分の実力を発揮できますように。

途中休憩をはさんで、テストは無事に終了。

なんとか全部解くことができたし、悪くはなさそうだ。

テストの結果は明日電話で自宅へ連絡を入れてくれるらしい。

なんだか疲れたけど、満足な気分で家へ帰ることができた。

帰宅するといつものように玄関へ走ってきて迎えてくるカナコ。

「おにいちゃん、おかえり!」

靴を脱ぎ、スリッパに履き替えた俺の腕に自分の腕をからませるカナコ。

荷物を置いてカナコの頭をなでてから、リビングへ顔をだす。

夕飯の支度を終えてカナコと宿題をしていたようで、テーブルの上には教科書とノートが置いてあった。

「おかえりなさい、コウヘイ」

疲れたでしょう?ご飯にするから先に着替えてきなさいね。そういうとキッチンへ向かう母さん。

母さんはいつもそうなんだ。テストが終わると結果を俺が持って帰るまで何も聞いてこない。

でも、それは母さんが俺を信頼してくれているからだとわかっていたし、俺も母さんを裏切るようなことをしたくないと思っていたから、よほど失敗をしない限りは自分からあれこれいったりしなかった。
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