妹の恋人[完]
家庭教師の顔合わせの日。

母さんに教えてもらった家は、自宅から歩いて10分くらいのところで。

「・・・でかい・・・」

思わず見上げてしまうほど、とても立派なお宅だった。

インターホンを押すと、家の中からお母さんらしき女性が出てきて。

「まあ、浅野先生?お待ちしてました」

初対面で先生と呼ばれて、恥ずかしい・・・。

家へ上がると、家の中も広くて。

なんだか落ち着かない気持ちのままリビングに通された。

ソファに座っていた女の子と目が合うと、すくっと立ちあがって挨拶をしてくれて。

「先生こんにちは。アヤです。よろしくお願いします!」

ショートカットで大きな目をした可愛らしい子で。

「浅野コウヘイです。よろしく!」

とっても元気が良くて、はきはきとしている気持ちのいい子だった。

「さっそくなんですけど、今ここをやってますの」

おそらく、塾で使っているのであろうテキストをいくつか見せてくれて。

塾で行われた模試の結果も見せてくれた。

成績はかなりいい方で、家庭教師なんて必要ないんじゃないだろうかと思うほど。

ただ、聞いていたとおりその中でも数学だけ少し低いようだった。
< 373 / 587 >

この作品をシェア

pagetop