妹の恋人[完]
「・・・気をつけよう」

勘違いされるようなことには、気をつけよう。

カナコだと思って接すると勘違いされたりしそうだし。

あくまで生徒であって、妹ではないということ。

当たり前のことを忘れないように気をつけなければ。


「今日から家庭教師なんでしょう?」

朝、いつものようにマンションの前で待っていたカヨちゃんと、大学へ向かう。

「そうなんだ。緊張するよ」

もともと成績の良い子なので、心配するようなことはないけど。

ご両親と本人の希望をかなえてあげたい。

「コウヘイ君はきっと大丈夫。やさしいから教えるのも得意そうだし」

いつもカナコに勉強を教えているからといって、安心はできない。

なんせ、初めての経験だし。

自分が中学の時に頑張っていたことを思い出して、わからないところを理解できるようにしてあげたい。

「でもその子すごいねー。塾のない日は家庭教師でしょ?毎日勉強三昧かー」

「だなー。でも俺も似たようなもんだったかも?」

高校受験の時も勉強はがんばったし、高校へ入学してからも、バスケットができなくなってからは毎日勉強の日々だった。
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