妹の恋人[完]
俺の腕を引っ張りながらリビングへ連れて行き、今日の家庭教師のことをあれこれ質問されて。

俺も、聞かれるがままに答えていった。

「カナコ、コウヘイもそんなに質問攻めじゃ困るわよ」

母さんの助け船で、カナコもむすっとしてテレビを見に行ってしまったけど。

「まるで恋人に問いだたされているみたいね」

なんて母さんに笑われて。

俺も、自分でもそう思っていたけど、母さんに言われるとなんだか複雑で。

彼女が俺の浮気を心配してあれこれ質問されている気分だった。

「カナコのおにいちゃん離れは何時かしらね?」

俺に夕飯を出しながら、くすくす笑っている母さんの視線の先には、いらいらしながらぽちぽちチャンネルを変えているカナコがいて。

おにいちゃん離れ・・・。

そうだよな。いつか、カナコも俺にくっついてばかりではいられなくなるんだろうし。

それはそれで、とても寂しい。

「カナコ、夕飯にしましょう」

ここ最近では珍しく残業の父さんの分を分けて、3人で夕飯を食べて。

相変わらず機嫌の悪いカナコは、結局翌日の朝走る時間まで俺と口をきいてくれなかった。
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