妹の恋人[完]
触れるだけのそれに、笑顔で答えてくれたカヨちゃん。

もう一度触れた唇が、少しだけ震えているように思えて。

そっと離し、再びぎゅっと腕のなかに抱きしめた。

「ふふ。かわいいコウヘイ君」

腕の中で笑っているカヨちゃんだけど、やはり震えているのは気のせいじゃなくて。

「カヨちゃん?」

背中にまわした手で、そっとなでてあげると、両手で顔を覆って泣き出してしまった。

「え、カヨちゃん???」

体を離し、両手で肩を支えるようにして顔を覗き込んだけど、両手でしっかり覆われていて見ることができなくて。

しゃくりあげるように泣いているカヨちゃんを、どうすることもできなくて再びギュッと抱きしめて落ち着くまで背中をなで続けていた。
< 389 / 587 >

この作品をシェア

pagetop