妹の恋人[完]
「もっと俺、正装してくるべきだったんじゃない?」

きれいにセッティングされたテーブルを前に、なんだかとても落ち着かない俺。

普通に普段着で、なんだか居心地が悪い。

「ふふ。気にしない気にしない。家だしね!」

小さなワインを開けようとしているカヨちゃんからボトルを受け取り、代わりに俺がグラスに注ぐ。

「ありがとう」

小さなワイングラス二つに、ちょうど半分入るくらいの小さなボトルだけど。

食事のときにちょっとだけ飲むにはちょうどいいサイズだと思う。

「メリークリスマス」

ワイングラスを片手に、乾杯をして口をつけると、甘い香りが口のなかに広がって。

「おいしい」

ふふっと笑いながらそう言うカヨちゃんの好みの味なんだとすぐにわかった。

「いただきます」

まるでレストランにいるんじゃないかと思うくらいおいしい料理にびっくりしながらも、二人で笑いながらいただく食事はとても楽しくて。

一通り食べ終わり、デザートのケーキの前にプレゼントを渡そうと思い、持ってきた袋からブリザーブドフラワーの置物を取り出す。

「これ、俺からのクリスマスプレゼント」
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