妹の恋人[完]
きっと、一緒にいたい気持ちはカヨちゃんもあったと思うけど。

それでも笑顔で俺を送り出してくれた彼女に感謝しつつ、急いで電車に飛び乗り、家へと向かった。

家に付くと、皆はもう眠っていたようで。

できるだけ音をたてないようにカギを開け、そっと部屋へ入る。

俺の机の上を見ると、ラッピングされた小さな箱と、メッセージカードが置いてあって。

『メリークリスマス。おにいちゃん、大好きよ。カナコ』

カナコの可愛らしい字で書かれたそのメッセージに、気持がとても暖かくなって。

箱を開けると、複数の本をまとめて持ち運ぶのに便利な、ブックバンドが入っていた。

革メーカーの刻印が入ったそれは、シンプルだけどとてもおしゃれで、かっこよくて。

いつも参考書などを持ち運ぶ俺の姿を見て、選んでくれたんだと思うととてもうれしい。

そっとカナコの部屋を覗くと、すっかり眠りについているようで。

とりあえず、シャワーを浴びて寝る準備をしてから、再びカナコの部屋へ行き、そっと枕元にプレゼントをセットすることにする。

どうしようか迷った末、大きなクマのぬいぐるみと、ぬいぐるみの首にちょっと大人っぽいマフラーを巻いて置いておいた。

春には中学生になるし、制服に付けてもおかしくないような落ち着いたカラーのマフラー。

気に入ってくれるといいんだけど。

ぐっすり眠っているカナコの髪をそっとなでてから、部屋を出た。
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