妹の恋人[完]
最近は塾が終わるとこうして一緒に帰ることがほとんどだった。

時間が遅くなると母さんが迎えに来てくれることもあるけど、途中まで高橋さんと一緒で別れてからも数分なので二人で自然と二人で一緒に帰ることが多くなっていた。

「浅野君、その後彼女とは順調?」

突然の高橋さんの言葉に、彼女!?誰のこと?とすごくびっくりしたけど、以前彼女がいるような返事をしたんだったと思いだした。

「いや、あの実は俺彼女居ないんだ」

「え、だって、あの時彼女と待ち合わせしていたんでしょう?」

突然立ち止まり、大きな声を出した高橋さんにびっくりしつつ、嘘をついてしまったことに後悔していた。

カナコに会いたいからってやはり嘘はついちゃだめだったんだ。

「あの日は家族が誕生日をお祝いしてくれる予定だったから、早く帰る約束しててね」

だからとっさに嘘をついちゃったんだ、ごめんね。

「そうだったんだ。そっか、彼女、居ないんだ」

俺の横に来ると、再び歩き出した高橋さん。なんだかさっきよりも軽やかだ。

「よかった」

独り言のようにつぶやかれた言葉。でも、はっきりと聞こえてしまったんだ。よかったって。
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