妹の恋人[完]
「うん・・・」

そっと、彼女の頭を撫でながら次の言葉を待つ。

しばらく沈黙が続いたあと、小さな声で何かをつぶやいたようで。

「え・・・?」

うまく聞き取ることができなくて、もう一度聞き返してしまった。

「ソウタが、死んだの」

やっと声を絞り出した彼女の言葉に、一瞬何を言われたのか理解できなくて。

ソウタって、確かカヨちゃんの弟・・・。

あったことはないけど、何度か彼女の話のなかに出てきた、カナコと同じ年の弟の名前がソウタだった。

「昨日、ソウタが病院で死んだの」

いつまでたっても止まらない涙が、俺の胸元でしみているのがわかる。

何がどうなったのか、今は聞くことができないと思った俺は、戸惑いながらも彼女の言葉をそのまま受け止め、泣き続ける彼女の背中と頭をそっと撫でることしかできなかった。

どれくらい時間がたったのか。

気が付くと外が徐々に明るくなってきていて。

腕の中で、彼女は眠っていたようだった。

俺も彼女を抱きしめながらほんの少し眠っていたようで。

腕の中でそっと動いた彼女から腕を外すと、ぎこちなく俺から離れたカヨちゃんと目があった。

「あの、えっと・・・」
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