妹の恋人[完]
「温かいお茶でも飲もうか」

彼女の頭をそっとなでると、立ち上がりキッチンへと向かう。

何度も使っている彼女のキッチンだから、どこに何があるのか大体はわかっていて。

お湯を沸かすために火にかけ、棚からコップを二つ取り出した。

「ハーブティーに、しようかな」

俺のそばへやってきたカヨちゃんが、棚からお気に入りのハーブティーのティーバッグを取り出し、コップにそれぞれ入れる。

お湯が沸くまでの数分間が、なんだかとても長く感じる。

「夕べは、ごめんね。ありがとう」

沸騰したお湯を、少し時間を開けてからコップに注いでひとつを俺に手渡してくれた。

「いや、何もできなかったし」

彼女からコップを受け取ると、やさしい香りが心地よくて。

二人で並んでソファに座り、ゆっくりとお茶を口にした。

「あのね、弟のソウタ。病気だったんだって」
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