妹の恋人[完]
「え?」

彼女の口から、思いもよらない言葉が出てきて。

病気。

弟のことはほとんど知らないし会ったこともなかったけど、何も知らないからこそまさか病気だなんて考えたこともなくて。

同じ年の妹がいる俺としては、なんだか信じられない。

「私もね、知らなかったの。再婚する少し前に病気がわかったらしくて」

弟の病気がきっかけで再婚したわけじゃないとお父さんは話してくれたらしいけど。

でも、それもあったんじゃないだろうか。

「ソウタね、まだ小さいのに・・・」

カヨちゃんが家を出てから、入退院を繰り返していたらしく、なかなか家へ連絡を入れなかった彼女は当然それを知らなくて。

弟のソウタも、お姉ちゃんには言わないで欲しい、と言っていたらしい。

「家庭教師もね、なかなか学校に行けないソウタのためもあったんだって」

大学の授業が終わってから、実家へ戻り勉強を教えていたカヨちゃんは、ソウタが小学校へ行っていなかったこともはじめのうちは気がつかなかったらしい。

ある日、顔色の悪いソウタが倒れたことからカヨちゃんにも病気のことが知れて。

「そのまま、入院になって。今度は退院できなかったの」

俺と過ごしたクリスマスイブ。

クリスマスには実家で家族4人で過ごすことができたらしい。
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