妹の恋人[完]

「浮気っていうか・・・私ね、彼氏がいても、平気で他の男の子と遊びに行くような女なのよ」

カヨちゃんは、俺の目の前で携帯電話を両手でつかむと、どこにそんな力があるのだろう？と思うくらい、気持ちよくばきっと音を立てながら携帯を半分に折ってしまった。

「昔からね、ずっとそう。声をかければ男の人って近寄ってくるし。さみしい時は慰めてくれるし」

無残に壊れた携帯電話をゴミ箱へ投げいれると、俺のそばへやってきてじっと俺の目を見つめてきた。

彼女の行動すべてが俺にとっては驚くことで。

俺が見ていたカヨちゃんとはまるで別人の彼女に、何も言葉が出てこずにただ黙って見つめることしかできなくて。

「びっくりでしょう？でも、コウヘイ君はとても優しいから最後くらいは本当のことを伝えたくて」

すとん、と膝を落とし、俺の前で座ったカヨちゃんは、座っている俺の首に両手をまわして抱きついてきた。

「コウヘイ君のことは、好きだった。でも、さよなら」

「なんで？どういうこと？」

弟が死んだから？

いや、そうじゃないだろう。

弟が病気だとわかる前から付き合っていたんだし。

ふっと、朝、バスケの練習を敷いていた時の事を思い出した。

そう言えば、よくバスケ仲間の男数名と仲良く話をしていたっけ。

さっき見せてくれた携帯のメモリの中にも、きっと彼らの名前があったんだろう。

「ごめんね、ごめんね、、、」