妹の恋人[完]
「あのね、浅野君!私・・・」

「た、高橋さん!受験頑張ろうね!」

高橋さんの言葉を遮ってしまった。きっと、次に言われる言葉を想像してしまったから。

「そ、そうね。もうすぐ私立の受験だし、頑張らなきゃね」

はっとした顔をしたけど、すぐに笑顔になった高橋さん。

今は受験だけ、ただそれだけなんだ。それ以外のことで悩みたくない。

「それじゃ、また明日ね!気をつけて」

いつもの曲がり角で別れ、急いで家へと向かった。

家へ着くともうカナコは眠っていて。

こっそりカナコの部屋をのぞくと、かわいい寝顔を見ることができた。

あともう少しで受験が終わるんだ。

そしたらたくさんカナコと過ごせる。

部屋へ戻り、少しだけ勉強をしたけど、帰りの高橋さんの表情が頭から離れなくて寝ることにした。
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