妹の恋人[完]
「・・・浮気とか、まあ、今だに信じられないけど・・・」

「・・・ごめん、なさい」

絞り出すような小さな声で、謝罪をしてくれるけど。

誰と、どんなふうに浮気をしていたのか、今は追及する気もないし、きっとこれからも問いただすことはないと思う。

「俺といた時間は、嘘じゃなかったと思うから」

時間としては、どれくらい走ったのか。

ナビどおりに進み、気が付くとそんなに遠くないカヨちゃんの実家に着いていた。

朝早いということもあるのか、家の周りはとても静かで。

外から見る限り、電気こそ付いているものの家の中もとても静かだった。

「降りれる?」

エンジンを止め、助手席側へ回りドアを開けると、涙目のカヨちゃんが俺を見上げていて。

なかなか降りようとしない彼女の腕をそっとつかみ、立ち上がらせてあげた。

俺にされるがままに車から降り、俯いたまま俺の前に立ちつくしたカヨちゃん。

俺は、そんな彼女に話しかけることもなく、後部座席に置いた彼女の荷物を取り出すと、両手に持たせてあげた。

「一人で、大丈夫?」

「・・・うん。ありがとう」
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