妹の恋人[完]
明日から夏休みというある日。

いつものように朝早くからバスケットをしていたら、いつも一緒になる長谷川先輩からバイトに誘われた。

なんでも、その先輩のお兄さんと言う人が近くで中学生向けの学習塾をしているとかで。

数学の講師が急にやめてしまい、困っているのだという。

条件を聞くと、悪くないのですぐに連絡を取ってもらい、さっそく面接へ行くことになった。

「浅野コウヘイです」

「どうぞ、おかけください」

住宅街の中にある、小さな学習塾。

話を聞くと、主に高校受験対策がメインで、小学校高学年から中学3年生までを見ているらしい。

「うちはちょっと特殊でね。不登校の子も受け入れているから、平日の昼間から開けているんです」

フリースクールとまではいかないけど、いじめや心の問題で学校へ通うことができない子が、気軽に勉強できるように、と昼間は次週ルームを開放しているのだという。

最近は毎日通ってくる子もいれば、時々顔を出す子もいて、毎日誰かがやってくるのだとか。

「まあ、夕方以降は普通の学習塾と変わらないんだけどね。個人でやっている塾なので、アットホームです」

小さな塾で、大手のように大人数を受け入れているわけではないけど。

でも、教室を見せてもらったり、先生の考えなどに共感することはできた。
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