妹の恋人[完]
「よければ、明日からでも来ていただきたいんですけど」

にっこりと笑い、そう言う長谷川先生に、今の焼き肉屋のバイトとの兼ね合いもあるので当面は週に3回だけ雇ってもらうことになった。

「よろしくお願いします」

公立高校受験を目指す中学生の多いこの塾。

1学年で2クラスあり、小学生クラスを入れると8クラスもあるという。

小さい割に人数が多くて、ちょっとびっくりだけど。

皆、真面目に勉強しているようで、それにも驚いてしまった。

初日は、今臨時できているという数学の先生の授業を見学したけど。

中学3年生のこのクラス、1クラスの人数としては、学校のクラスよりも少ないけど、皆がそれぞれ志望校を目指してちゃんと真面目に取り組んでいて、感心した。

授業が終わってからも、休み時間には先生ととてもアットホームに世間話なんかしちゃって。

見学していた俺の周りにも、いつの間にか生徒がたくさん集まっていて、皆素直でいい子ばかりでとても楽しかった。

「ねえ、先生はいつから来るの?」

「早く先生の授業受けたい!」

「はは。浅野先生の方が若いからって、俺はどうなるんだ?」

俺の周りで女の子たちがはしゃいでいて、遠くで今来ている先生が呆れたように笑っていた。

「せんせー!浅野先生が素敵だからってやきもちー???」
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