妹の恋人[完]
授業の合間に、時間があるときは自習室へ顔を出すようにしていた。

学校へ通えていない子に開放している自習室。

自由に使えるパソコンも何台か置いてあり、毎日通ってはゲームをしたりしている子もいて。

ゲームばかりしていても、怒ることはせずにパソコンを使ってゲーム感覚で勉強できる教材をやらせたりして。

勉強に対する興味を広げてほしい。

そして、いつかまた学校へ通うことができたらいい。

皆それぞれ理由があるだろうし、本人は何も話してくれないし、こちらからもあえて聞くこともなく。

ただ、家に引きこもっているよりはこうして少しでも外に出てきてくれることの方がなんだか嬉しいとさえ思うようになっていた。

声をかければ話を聞いてくれることが増えてきたり、今まで話しかけても反応がなかった子が、自ら話しかけてきてくれた時にはとにかくうれしくて。

塾の授業以外でも、やりがいのようなものをなんとなく感じるようになっていた。

「浅野先生、ここ教えて」

質問に来てくれるのは、女の子が多かったけど、男の子ももちろん良く話しかけてくれて。

この塾へ通っている子たちはとにかく素直で、自分が中学の時はどうだっただろう?と考えてしまうほど。

自分の目指す高校へ向けて、とにかく必死に頑張っている姿がかわいくて。

そんな中でも好きな子の話とか、なんだかとにかくかわいい。
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