妹の恋人[完]
「先生って言うよりも、単なるおやじだな」

皆が楽しそうに話している姿を、少し離れた所から見ていて、父親のような気分になってしまう。

「一回りも離れていないのになぁ」

「はは。俺より若い浅野先生がそんなんじゃ、だめだね」

そんな俺の言葉を聞いていた長谷川先生に、笑われてしまった。

「でも、気持はわかるな。若いっていいよな」

沢山勉強して、沢山いろんなことを経験してほしい。

家へ帰ると毎日学校のプールで泳いでいるカナコが疲れきった顔で宿題をやっていて。

真っ黒に日焼けしたカナコは、とにかく黒くて。

ろくに遊びにも出かけていない俺と比べると、いかに自分が陽にあたっていないかがよくわかる。

「おにいちゃん、いい所に帰ってきた。ここわかんない」

相変わらず勉強は苦手。でも、泳ぐのが大好きだというカナコ。

それでも毎日こつこつと宿題をやっている姿を見ると、感心できる。

「あー、着替えてくるから待ってて」

塾から家までの距離を、バスで移動している俺。

原付でも買って通おうかと思うけど、何せ暑い。

車はもう少し先に買おうと思っているので、今はまだバスで十分。

バス停から家までの間に、暑い日差しに照らされてとにかく汗臭くなってしまう。

毎日帰宅したらまずはシャワーが日課だった。
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