妹の恋人[完]
カヨちゃんと別れてから、特定の女の子と遊ぶこともなく。

大学の仲間とも、会えば楽しく話をするけど、休みの日まで約束して出かけることは全くなくなっていた。

「もう少し、遊んだらいいと思うのにねえ」

バイトばかりの俺を、最近母さんがすごく心配していると父さんがこっそり教えてくれた。

働き過ぎで、体を壊すんじゃないかとか。

もう少し、若い子らしく遊ぶ姿を見せてくれてもいいのに、なんて。

「そろそろ、新しい彼女でも作ったらいいんじゃない?」

バイト以外で出かけることが少なくなっていた俺に、母さんもついついそんな事を口にするようになってきた。

別に、今は彼女が欲しいなんて思っていないしなぁ。

塾の講師というバイトが、楽しくなってきて。

夏休みの間だけでも、それに集中したいと思ってしまうのは、おかしいだろうか。

「まあ・・・そのうち、ね?」

「カナコがいるからいいでしょ!おにいちゃん、今週末お休み?デートしよ!」

気を使ってくれているのか、本気なのか。

カナコが目を輝かせながら俺の顔を覗き込んできて。

かわいくて思わず頭をくしゃくしゃっとなでた。
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