妹の恋人[完]
「じゃあ、着替え終わったらここで待ち合わせね!」

きゃあきゃあはしゃぎながら更衣室へ駈け込んでいく二人を見送ってから、のんびり俺も更衣室へと向かう。

女の子はこういうとき、時間がかかって大変だよな。

ささっと着替えを済ませ、待ち合わせ場所へ行ってからぼーっと待っていると、目の前に人影ができて。

ふと見上げると、目のやり場に困るような水着を着た、きれいな女性だった。

「ねえ、ひとり・・・なわけないよね?」

お団子にされた頭に手をやりながら、俺の前に立つその女性は、なんだか落ち着かないような感じで。

「待ち合わせしてるんですが」

これってナンパ?でも、こんな大きなプールに男が一人で来ているとも思えないんだけど。

「だよねぇ。男友達と?」

「いや、女の子と、です」

彼女じゃないけど、一緒に来ているのは女の子二人。

「そっかぁ。ねえ、よかったら連絡してよ」

彼女の手には、電話番号とメールアドレスの書かれた紙があって。

そっと俺の手のなかにそれを入れてじゃあねと立ち去ってしまった。

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