妹の恋人[完]
相変わらず不機嫌丸だしな顔で、俺たちを追いかけてくるカナコだけど。

困ったところもあるけど、かわいいなとも思う。

中学生にとって、大人の女が男をナンパするということが理解できないんだろうか。

それとも、兄である俺が、そういう女性の連絡先を受け取ったことがやはり嫌だったんだろうか。

「カナコ。あの紙は自分で処分するつもりだったよ。連絡する気はなかった」

「おにいちゃん」

でもやはり。人のものを勝手に見たり処分したりはよくないと思うことを伝えると、申し訳なさそうにごめんなさいと謝ってきた。

「わかってくれたらいいよ。さあ、楽しもうか!」

適当な場所にタオルなどの荷物を置いて、二人を連れて大きなプールへと向かう。

流れるプールや、波の出てくるプールがあり、はしゃぐ二人について回るのも結構大変で。

運動が好きで、毎朝走っているのもあり体力にはそれなりに自信があったけど。

この夏はバイトばかりで朝走ること以外に運動らしい事を何もしておらず、自分で思っていた以上に体力がなくなっていて、ショックだった。

こまめに休憩を入れつつ、お昼近くになり売店で焼きそばやポテトなどを買い、食べた後もまたプールへと走って行った二人。

さすがに俺はつかれてしまい、帰りの運転のこともあって日陰で一人休憩をしていた。

遠くの方で、カナコとハナちゃんがビーチボールで遊んでいるのがよく見えて。

とんでもない方向へ飛んで行くボールを追いかけたりして、見ているだけでも楽しめた。
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