妹の恋人[完]
楽しかった週末も終わり、またバイトの日々が始まった。

いつものように朝早く起きてカナコと走った後、朝食を済ませてから塾へと向かう。

授業が始まるよりも早く行き、準備などをするんだけど、最近はそれだけじゃなくて。

自習室を覗くと、今日も何人か学校へ行けていない子供たちが顔を出しに来ていた。

「おはよー」

そっと扉を開け、声をかけながら中へ入っていく。

はじめの頃はすごく警戒されて、俺の言葉なんて聞こえていないんじゃないかってくらいに無視されたりしていたけど。

毎日こうしてあいさつから始めていたら、最近では会話ができるまでになっていた。

「せんせー、おはよー」

パソコンの前に座り、ゲームをやっている子。

机に向って何やら一生懸命書いている子。

本を読んでいる子。

いつも1人から5人くらいの子が顔を出しに来ているけど、近くにこんなに不登校の子がいるのかと最初はすごく驚いた。

「昨日のゲーム、やってみた?」

パソコンの前に座っている男の子に、声をかけてみる。

昨日、簡単な文字のゲームを勧めてみた。

内容は、文字をつないで言葉を作っていくものだけど、単純そうで意外と難しい。

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