妹の恋人[完]
2月の空はとても寒くて、ぐるぐるに巻いたマフラーから少しだけ顔を出して笑う高橋さん。

一緒にいる時間が増えて、いつも話をするときは笑顔で、やさしい目をしているんだと気がついた。

カナコはいつも元気で、まるでぴょんぴょんとび跳ねながら話をしているんじゃないかと思うくらいだけど。

高橋さんはそんなことはなくて、落ち着いているんだけどでも笑顔がやさしいんだ。

「それじゃ、また明日、学校でね!」

いつもの曲がり角で別れて帰宅した。

夕飯の前に帰宅できたので、玄関まで迎えに来てくれたカナコとリビングに顔を出し、試験の話やカナコの学校の話を聞いて、あっという間に一日が終わった。

試験は自分ではできたと思っていたし、自信もあったので特に問題はないと思う、そう話すと安心したのか、母さんはそれ以上聞いてこなかったし、カナコも信じていると言いながら自分のことを必死に話してくれて。

まだ受験が終わったわけじゃないのに、久しぶりに過ごすゆっくりとした時間がとても心地よかった。

寝る前に机に向って少しだけ勉強をし、ひとつ終わった試験にホッとしつつもまだ本番が残っているんだ、という緊張感とともにせっかくだから早く寝よう、と体と頭を休ませることにした。
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