妹の恋人[完]
1時間後に様子を見行くと、ちゃんと課題をクリアしていて。

「知らない言葉も多くて、面白かったよ」

一人でこつこつとやることも大切だけど、友達と一緒に何かをやることもとっても大切な時期。

たとえゲームでも、こうして誰かと一緒にやることで、何かを感じ取ってほしい。

ここはあくまで学習塾だけど、彼らにとってここが一つの集団生活の場でもあって。

「もう少し、漢字の勉強しようかな」

新しい気持ちへの第一歩になればいいと思う。


自習室は、学校へ行けていない彼ら以外にも、塾の生徒も利用していて。

時々、早く来た生徒が机に向って勉強したりもしている。

でも、生徒が彼らに話しかけることもなければ、彼らが生徒に何かを求めることもなくて。

なんだか不思議な空間で。


そんな彼らを見ていて、自分が中学生の時はどうだったのだろうか、と考えてしまう。

俺は学校へ行って、バスケットの毎日で。

カナコにいいところを見せたくて勉強も頑張っていた。

第一希望だった高校へも合格できたし、楽しい毎日だったともう。

< 442 / 587 >

この作品をシェア

pagetop