妹の恋人[完]
中学って、いろんなことを感じて、いろんなことを考えて。

だからこそ、いろんなことを思って、そうやって成長していくんだと思う。

志望校目指して頑張って勉強している子もいれば、なんとなく成績を上げるためだけの頑張っている子もいて。

もちろん、自分の意志で勉強している子もいれば、親に言われてしぶしぶ通っている子もいる。

友達が通っているからって子も少なくない。

夏休みの間、毎日のように塾へ顔を出し、沢山の生徒と触れ合うことで、俺自身も教師という仕事に対して少し考え方が変わったような気がする。

「先生さよーならー」

夏休み最終日も、受験生の子たちは勉強に来ていて。

夏の長い陽もすっかり落ちて外が暗くなってから、皆家へと帰っていく。

自分も通った道だけど、さすがにこの時間まで毎日塾だと、皆大変だなぁ。

「浅野先生もお疲れ様でした」

今日は焼き肉屋のバイトがないので、夜も塾へ顔を出していたけど。

長谷川先生のやりきったような顔を見たら、なんだか疲れも忘れてしまった。

「お疲れ様でした。終わりましたね、夏休み」

「ええ、9月もまたよろしくお願いします」

9月からは、塾の数学の授業がある日のみ顔を出すことになっていて。

それ以外の日は、焼き肉屋のバイトへ行くことにしている。

「こちらこそ、先生は生徒に人気ありますからね。よろしくお願いします」

こうして、バイトばかりの俺の夏も、終わっていった。

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