妹の恋人[完]
中学校の卒業式。
式の後、校庭で写真をとったり別れを惜しんでいると、同級生や後輩の女子が次々に寄ってきて学生服のボタンを欲しがった。
替えのボタンがいくつかあったんだけど、全部はないのであげてしまうと試験の日にボタンなしで行くことになってしまうんだ。
それもあって、替えのボタンがある分だけ欲しがった子にあげたんだけど、2番目のボタンだけはじめから外しておいた。
2番目のボタンに特別な意味があるんだ、と大野君が教えてくれたから。
大野君は式が始まる前に、彼女の早川さんにあげるんだと教えてくれた。
部活の後輩や同じクラスの仲間と最後のお別れをしつつ、数日後に迫った入学試験のこともあり、皆早々に学校を後にしたんだ。
一旦家へ帰り、お昼ご飯を食べてから塾へと向かった。
はずしておいた2番目のボタンをなんとなく鞄に入れて。
本当はカナコにあげるつもりだったけど、昨日ちらっと話したら興味がないようだったし、それよりも後輩からプレゼントされた花束のほうが嬉しそうだったし。
なんとなく渡せそうになかったのもあって、家に置いておく気にもなれなかった。
「浅野君、いよいよ残すのは本番だけになったね」
先に来ていた高橋さんの隣に座り、参考書を出す。
「そうだね、もうあとはやるだけやって後悔しないようにしなきゃね」
式の後、校庭で写真をとったり別れを惜しんでいると、同級生や後輩の女子が次々に寄ってきて学生服のボタンを欲しがった。
替えのボタンがいくつかあったんだけど、全部はないのであげてしまうと試験の日にボタンなしで行くことになってしまうんだ。
それもあって、替えのボタンがある分だけ欲しがった子にあげたんだけど、2番目のボタンだけはじめから外しておいた。
2番目のボタンに特別な意味があるんだ、と大野君が教えてくれたから。
大野君は式が始まる前に、彼女の早川さんにあげるんだと教えてくれた。
部活の後輩や同じクラスの仲間と最後のお別れをしつつ、数日後に迫った入学試験のこともあり、皆早々に学校を後にしたんだ。
一旦家へ帰り、お昼ご飯を食べてから塾へと向かった。
はずしておいた2番目のボタンをなんとなく鞄に入れて。
本当はカナコにあげるつもりだったけど、昨日ちらっと話したら興味がないようだったし、それよりも後輩からプレゼントされた花束のほうが嬉しそうだったし。
なんとなく渡せそうになかったのもあって、家に置いておく気にもなれなかった。
「浅野君、いよいよ残すのは本番だけになったね」
先に来ていた高橋さんの隣に座り、参考書を出す。
「そうだね、もうあとはやるだけやって後悔しないようにしなきゃね」