妹の恋人[完]
「誰か、好きな人がいるの?」

クリスマスも過ぎてあっという間に冬休みも終わり。

いよいよ高校受験本番が近付いたころ、大学でバスケ仲間の中野君に聞かれた。

「いないけど・・・???」

あまり仲良く話をする方じゃないけど、ほぼ毎日のように一緒になる彼は、あまり人と話をしているところを見たことがなくて。

静かな人なのかと思っていたので、まさか自分が話しかけられているなんて気がつかなくてびっくりしてしまった。

「そっか」

どうやら、見学に来ている女の子たちから、俺が告白されても断り続けていることを聞いたらしくて。

「まあ、普通に考えたら、ほかに誰かいるのか、もしくは女の子に興味がないのか」

「えっ」

静かにそう言う中野君に、びっくりしながらも男に興味はないことだけは伝える。

「塾で講師のバイトしているんだけど、もうすぐ高校受験だし、それどころじゃなくて」

あと1ヶ月もすれば公立高校の受験がある。

最近は毎日塾に顔を出して、受験生の相手をしていた。

「ああ、そうなんだ。俺なんて浅野と話もしたことないのに、一緒にバスケやっているってだけですげー聞かれたよ」

「え、どういうこと?」
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