妹の恋人[完]
見学に来ている女の子たちが、俺のことをあれこれ聞いて回っているようで。

俺とほとんど会話をしたことのない中野君にまであれこれ聞きに来たらしくて。

「はは。浅野ってさ、罪だよね」

これから図書室へ行くという彼に着いて、俺も一緒に歩き始める。

「まさか気がつかなかった?夏前から増えてきた女の子たち、ほとんど浅野目当て」

「はぁ?」

中野君の言うことがさっぱりわからなくて。

「はは。自覚なしかよー」

大きな鞄を肩に担いで、笑いながら足を進める中野君。

「お前さ、もう少し周りの女の子見てあげたら?女の子と接していないからすげー皆遠巻きなのな」

言葉数が少ないのか、時々彼の言うことがよくわからないけど。

でも、あまり人と接していないように思っていた彼は、周りのことを見ているようで。

・・・それとも、俺だけが気が付いていなかったのか?

確かに、バイト三昧ではあったけど。

「すっげー声かけにくそうに皆見てたよ」

くくくっと肩を震わせながら笑う中野君の言葉に、なんだか頭の中が真っ白になって。
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