妹の恋人[完]
そんなに余裕なかったのかな?とか、そんなに鈍いんだろうか、とか。

それとも、彼にからかわれているんだろうかなんて、どうでもいいことばかり思い浮かぶ。

「まあ、頑張ってよ。もう少し笑顔が増えると、女の子から話しかけてくれるかもな」

「はぁ・・・」

なんで彼が俺にそんなことを教えてくれるのかわからないけど。

嫌味とかじゃないようで。

「じゃ、俺調べたいことあるから。もうすぐ講義始まる時間だけど、大丈夫?」

図書室の前まで付いてきてしまい、あわてて時計を確認すると遅刻寸前で。

「あ、ごめん、ありがとう」

何に対してのごめんで、何に対してのお礼だかよくわからないけど、あわてて教室へと急いだ。

なんとか講義には間に合い、その日一日あまり頭には入ってこないまま講義を受けて。

お昼休みも食欲がわかず、なんとなく向かった図書室でぼーっとすごした。

「女の子、ねぇ」
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