妹の恋人[完]
確かに。

自分から女の子に話しかけることはしていないけど、避けているつもりもなかった。

バスケット仲間だって、コートの中では楽しく話ができるけど、コートを出てしまうとほとんど接点がなくて。

もう少し、周りと接点を持った方がいいのだろうか。

一日中、そんなことを考えながら、今日は塾のバイトの日なのでまっすぐへと塾へ向かう。

高校受験目前の3年生たち。

中には風邪気味の子もいて、すごく心配だったりして。

試験まで一カ月。

最後のひと踏ん張りで、皆頑張っている。

少しでも力になれるようにと俺も頑張っているけど、皆の頑張りには負けているような気がして。

それでも、生徒たちをむきあっている間は、今日の出来事を忘れることができて。

あっという間に時間は過ぎて行った。


それから、毎日のバスケットで、中野君が時々話しかけてきてくれるようになり。

俺も、あまり声をかけることのなかった女の子たちに自分から挨拶をしてみたりして。

少しだけ、周りとの交流を広めてみようと、皆と過ごす時間を増やしてみたりしていた。
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