妹の恋人[完]
恋人
「おにいちゃん、あのねぇ」

4月になり、俺は大学3年生になった。

カナコも、中学2年生になって、相変わらず水泳ばかりの毎日のようで。

朝はいつものように二人で走りながら、隣を走るカナコがなんだかはっきりしない口調でちらちらと俺の方を見ていて。

「なに?」

給水のために公園に寄り、持参しているペットボトルに口をつける。

近くのベンチに腰かけたカナコも、同じように口をつけたけど、飲んでいる感じじゃなくて。

「どうした?」

なんだか様子がおかしいカナコのおでこを触ってみるけど、調子が悪いわけではなさそう。

「あ、あのね、昨日告白された」

「え?」

顔を真っ赤にしたカナコが、下を向きながら少し大きな声でそう言って。

同じ水泳部の同級生に告白されたのだという。

「付き合ってほしいって言われたの」

「カナコはなんて答えたの?」

ここ数週間で、何人かの女の子に告白された俺。

すべて断っていたけど、カナコはどうするのだろうか。
< 459 / 587 >

この作品をシェア

pagetop