妹の恋人[完]
「あのね、私も彼のこといいなって思っててね」

だから、付き合うことにしたのだという。

「どうしてもおにいちゃんに一番に伝えたくて」

再びペットボトルに口をつけると、今度はぐびっと音をたてて飲み込んだカナコ。

なんだか複雑な気分な俺は、そんなカナコの姿を見ながらうまく言葉が出てこなくて。

付き合う・・・。

彼氏、ってことだよな。

カナコに、彼氏。

「そっか。どんな子なの?」

とっさに、よかったなとか言うべきだったのか?とか考えたけど、口に出すことができなくて。

これって、大事な妹を取られたやきもちなんだろうか。

「あのね、隣のクラスなんだけどね」

先ほどまでの歯切れの悪い言葉とは打って変わり、体を俺の方に乗り出してしゃべりだした。

「1年の時同じクラスだったんだけどね、告白されてびっくり!」

なんだかすごく興奮している様子で。
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