妹の恋人[完]
朝。

バスケットコートで、いろんな人と話をするようになってから、いかに自分の世界が狭かったのかがよくわかった気がした。

友達は今までもいたけど、沢山いる方ではなくて。

でも、このバスケットコートには本当にいろんな人が来ていて。

俺のように毎日顔を出す人もいれば、近くの大学からうわさを聞いて遊びに来たような人もいたりして。

趣味も、将来の夢も、学部も年齢も。

きっと、普通に街であっても話しかけることがないような関係なんだけど、ひとつのボールを追いかけているだけで不思議と仲良くなったような気分になれる。

こうして輪が広がり、恋人になった人もいれば親友を見つけた人もいたりして。

俺も、今まであまり接点を持たなかったけど、最近は自分から皆の輪に入るようにしているし、それも苦痛じゃなくて。

3年生になってやっと大学生らしく楽しむことができているんじゃないかと最近気が付いた。

「浅野さあ。今日バイト?隣の女子大のことコンパあるんだけど」

最近、こういう飲み会へのお誘いも増えてきて。

予定のない日は、参加するようにしている。

「今日はバイトないよ。何人来るの?」

「向こうは4人。こっちはまだ俺と浅野だけ」

「はぁ?」

結構行き当たりばったりな人も多くて。

それでも、声をかければ何人か集まるから不思議だ。
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