妹の恋人[完]
「じゃ、全部終わったら連絡して。学食で集合な」

集合するころにはメンバーも決まっているのだろう。

いつもこうして夜の街へと繰り出したりして、それなりに楽しんでいた。


「浅野君は教師目指しているの?」

「そう、今は塾で中学生相手に講師してる」

「すごいねー」

居酒屋で、女子大の女の子たちと一緒に飲んでいて。

隣に座った子が、やけに積極的で、正直面喰ってしまう。

目のやりどころに困るような服装で、明らかに胸元をアピールしていて。

狭い居酒屋の隣の席で、俺の腕に柔らかい部分が当たっているんですけど。

「いいなぁ。私まだ自分が何になりたいのかよくわかんない」

甘いお酒を口にしながら、少しだけ俺に寄りかかってきて。

あまりこういう積極的なタイプに慣れていない俺は、どうしたらいいのか迷いつつ、そのまま手元にあったビールジョッキを空けた。

「あ、おかわり、する?」

近くにあったドリンクメニューを素早く俺の前に出してくれて。

メニューに隠れて、こっそり俺の耳元で「それとも、うちへ来る?」なんて言われて。

それなりに食べて飲んで、皆もそれぞれが盛り上がっているようで。

でも、初めての女の子の家へなんて言ったことがない俺。

もちろん、この場でそう言う誘いを受けるってことは、もちろんそう言うことなんだよな・・・。
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