妹の恋人[完]
俺の知らない世界を教えてもらえたような気がして、そこで知り合ったお姉さんとしばらくの間連絡を取り合い時々あったりもしていた。

もちろん、誘われればお酒の勢いもあって一晩共にすることもあって。

でも、多くを求めてこないところが大人の女性なんだろうか?

朝になればあっさりとしたもので、べたべたと付きまとわれることもなく。

まあ、相手は社会人で昼間は仕事があるから当たり前だったのかもしれないけど。

それでも、時間がたてば連絡を取る回数も少なくなって。

いつの間にか連絡を取ることもなくなっていた。

その間も、俺は塾のバイトを続けていて、今年もまた受験生の面倒をメインで見ていて。

去年同様、夏休みにある夏季講習の時期が近付いていた。

「おにいちゃん、私も塾へ行こうかと思って」

春に彼氏ができたカナコは、青木君とうまくいっているようで。

なかなか青木君に会う機会もなく、もうすぐ夏休み。

「カナコが?珍しいね」

進んで勉強をするタイプとは思えないのに、自分から塾へ行きたいだなんて、正直驚いてしまった。

俺のバイト先は、大学の近くにあるのでカナコが通うには不便な場所で。

必然的に、駅前にあるいくつかの塾がいいんじゃないかと思うけど。

「あのね、青木君が通っている塾がいいかな、なんて」

ああ、やっぱり。
< 466 / 587 >

この作品をシェア

pagetop