妹の恋人[完]
「どうした?」

部活が終わってから彼と一緒に過ごしていたと思っていたのに、大きな声を出して歩きながら帰ってきたようで。

丁度買い物に出かけていて母さんは留守にしていたけど。

その日に限って俺は予定が何もなくて、久々のゆっくりした時間を過ごしていた。

まっすぐリビングへ来て俺の顔を見るなり、カナコは大きな声を出して俺に抱きついてきて。

「おにいちゃん!!!」

とにかく、俺が何を話しかけても何も答えてくれず、ずっと泣き続けているだけだった。

どれくらい泣いていたのか。

やっと少し落ち着いてきたカナコが、俺の腕の中で口を開いて話しだした。

実は青木君には1年生の時から付き合っている彼女がいて。

カナコに告白したのは、友達とのゲームだったのだという。

人気があるのに彼氏がいないカナコを、誰が一番に彼女にするかという、とんでもないゲームで。

人を疑うことを知らないカナコは、すっかり青木君を信じてしまい、一緒にいたのだという。

よくよく話を聞いてみると、いつも一緒にいたというカナコだったけど、塾と部活以外ではほとんど会うこともなかったようで。

実際は、部活が終われば青木君は彼女と遊んでいたらしいし、そんなことを知らないカナコは夜には青木君とメールでやり取りをしていて。

つまり、彼に二股をかけられていたというか、なんというか。

彼女と別れる気は全くなかったらしい。
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