妹の恋人[完]
掌に乗せて高橋さんの前に差し出す。

大野君に言われた2番目のボタンの意味。好きな子にあげると両想いになれるってやつ。

カナコにあげたかったのに渡せなかった2番目のボタン。

「え、あの、いいの?」

でも、何番目のボタンなのかはなんとなく言えなくて。

「うん、俺のでいいの?」

ふるえる手で俺の手のひらからボタンを取ると、大事そうに胸の前で握りしめた。

「ありがとう!」

真っ赤な顔のまま俺を見て、うれしそうにはにかむ高橋さん。

なんだか照れくさくて、頭をかいた。

俺が高橋さんを好きなのか自分ではよくわからないけど、高橋さんにならプレゼントしてもいいかな、と思ったのは本当のことで。

カナコにあげたいと思っていたのも本当だけど、渡せなくて。

自分でもよくわからないんだけど、でも、うれしそうな高橋さんの顔を見ていたら、良かったって思ったんだ。

「絶対に合格して、同じ高校へ行こうね」

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