妹の恋人[完]
周りの皆にかなり心配されて。

翌日の土曜日、バイトがあったので空いた時間に塾の長谷川先生にそれとなく就職のことを聞いてみた。

「もし、その気があるなら、うちの塾で講師を続けないかな?」

そんなつもりで聞いたわけではなかったけど、予想外な答えが返ってきて。

塾の講師・・・正直、自分の中ではこの先も塾での講師を続けることは選択肢にはなくて。

大学を卒業したら、このバイトも終わりなんだと思っていた。

「いえ、それはありがたいお話ですが・・・」

「はは。正直でいいね。まあ、僕も浅野先生にはもっと違う道が向いていると思いますよ」

「え?」

今まで、俺に講師が向いていると言ってくれていた長谷川先生に、なんだかそれを否定されてしまったような気分になって。

長谷川先生のその一言で、かなり落ち込んでしまった。

「浅野先生が、塾の講師に向いていないとは思いません。むしろ、教員を目指してほしいです。でも、君はきっと違う道へ進む方がいいんじゃないかとも思うんだ」

その後、長谷川先生が塾を開くことになった話などを聞かせてくれた。
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