妹の恋人[完]
「あとは合格発表だけだね」

おわったー!と椅子の背もたれで体重をかけて体を伸ばす俺を見て、くすくす笑う高橋さん。

試験が終わって、塾も春休みに入るし、高校へ入学したら塾をやめる人も多い。

ここでこうして高橋さんと話をできるのも今日で最後になるのかも。

「浅野君は塾続ける?」

「うーん、迷っているんだ。高校の勉強がどんなものなのかまだ分からないし」

ただ授業についていくだけなら塾は必要ないだろう。

でも、大学のことまで考えると、続けた方がいいんじゃないのか?と以前父さんに言われたのを思い出した。

「私はね、続けるつもり」

お医者さんになりたいの、俯き気味にそう教えてくれた。

「医者・・・」

ということは、医学部ってことだろうか。

まだどんな大学へ行きたいかとか考えていなかったし、将来何になりたいかすらわからない俺。

具体的になりたい職業があって、そのために勉強を頑張っている高橋さんを尊敬してしまう。
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