妹の恋人[完]
「カナコの横で寝ていたから、移っちゃったのかしらね?」

体温計を持ってきた母さんが、俺の脇に差し込む。

ふと扉を見ると、すっかり元気になったカナコが心配そうに俺の部屋を覗き込んでいた。

おそらく、母さんに入っちゃダメだと言われたのだろう。

「38度もあるわよ。今日は学校お休みね。何か食べられそう?」

心配そうなカナコ。泣きそうな、不安な顔をして俺の方を見ていて。

カナコ、そんな顔しないで。

心配掛けてごめんな。

でも、カナコが元気になってよかった。

「おかゆを作ってくるから、もう少し寝てなさいね」

母さんは、そっと俺の頬に触れるとカナコを連れて下へ降りて行った。

熱のある間、カナコは俺の部屋の扉を開け、部屋の前の廊下でずっと一人おとなしく遊んでいた。

部屋に入っちゃダメ、という母さんの言いつけを守っていたのだろう。

それでも、少しでもそばにいたいと思ってくれたカナコがかわいくて、かわいくて。

熱なんて出して眠っている場合じゃないとおもったけど、なかなか良くならなくてカナコのそばにいられないことがとにかくつらかった。

結局、俺も風邪で、それから3日間も熱が続き、学校は土日を入れて6日間も休んでしまった。
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