妹の恋人[完]
合格者名簿が張り出される時間。

先生らしき人が大きな紙をいくつか持ってきて、掲示板のところに張り出していく。

自分の受験番号と、高橋さんの受験番号。

お互いに番号を教えあい、ドキドキしながら掲示板の前へと進んだ。

たくさんの番号の中から自分の番号を探す。

「・・・あった」

横で、高橋さんのつぶやきが聞こえた。

その瞬間、俺も自分の番号を見つけることができた。

「俺も、あったよ」

お互いに、お互いの番号を何度も確認して、ようやく合格したんだ、と実感できた。

「・・・やった!」

うれしい!そう言いながら高橋さんに抱きつかれてしまった。

一瞬何が起きたかわからなくて。

俺よりも小さい高橋さん。

カナコよりは大きい高橋さん。

背中にまわされた手が、カナコが抱きついてきた時よりも位置が上で。

こんなときにもカナコを意識してしまう俺は、やっぱカナコだけで。
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