妹の恋人[完]
「あの、合格発表見たら、家に電話してねってお母さんが・・・」

申し訳なさそうにつないだ手を見ている高橋さん。

そうか、家に連絡しなきゃ!母さんもカナコも心配してる。

家へ帰るより近くのコンビニへ寄った方がまだ早い距離だったので、通りの先に見えたコンビニへと向かう。

お店の前にある公衆電話から家に電話する高橋さん。

「あ、お母さん、私。うん、そう、合格できました。ありがとう・・・」

途中、涙声になって報告する高橋さんを見ていたら、俺までなんだか泣きたくなってきた。

自分でもとにかく頑張った。それは認める。

早くに推薦が決まった大野君は、合格後同じように合格が決まった友達と遊んだりしていて。

そんな姿をみて、やっぱ私立にしとけば・・・なんて思わなかったわけでもないんだ。

でも、がんばってよかった。

「そう、浅野君も合格したよ」

うれしそうに笑う高橋さん。俺のことまでお母さんに報告してくれていた。

「うん、それじゃあ帰るね」
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